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墨攻/酒見賢一

  • 2007-01-16 (Tue) 14:03
  • Books
映画化されると言うことで、また酒見ファンであるにも関わらず今まで読んでなかったので読んでみました。
いや、映画化の直接の原作は小説版を原作にした漫画版っぽいですが。
虚実取り混ぜて読ませるスタイルはさすが酒見賢一というべきでしょう。
デビュー作「後宮小説」では架空の中華風帝国の歴史書や後世研究っぽい記述まで描写する人なので、
ある程度でも事実に立拠して、なおかつ独自の想像を加えて小説に仕立て上げる、なんてのは大得意でしょう。
実際小説を読んでいるだけではどこまでが事実(とされているもの)でどこまでが創作なのかの境目がさっぱり見えません。
物語のスタイルは塩野七生の「チェーザレ・ボルジア」とか「神の代理人」とかに近いのですが、
何と言うかもっと大胆に創作部分を混ぜた上で書いているので信じてしまうと大火傷します。
でも妙に説得力があるのが困りもの。
あと、この人はあとがきもひそかに楽しみです。
サイコ小説版2巻で突然物語消費論を始める大塚英志も相当アレですが、
あとがきだけで20ページ近く書いた上突然ラヴクラフトについて語りだしたりする作家はこの人くらいなもんでしょう。
そういや「語り手の事情」のあとがきも面白かったなぁ。
「最近の性の乱れを嘆いている」とかそういう書き出しからレヴィ=ストロースの話に繋がったりするあたりはもはや「やれやれ」としか言いようがない。
まあそのあとがき口調で一冊書いたら大変なことになってしまったのが「泣き虫弱虫諸葛孔明」だったりするわけで。
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