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イット/児玉ヒロキ

  • 2006-10-13 (Fri) 01:18
  • Books
正直な感想。金返せ。
電子図書パピレス投票6週連続1位!の帯を見て買ったのですが、なんというか…。
新書で、文章が縦二段の構成で印刷されていて、一行は22字で構成されているんですが、
3行以上続く文章が全体の10%くらいな気がする。
なんというか、ノベルゲームとかADVの文章を印刷して読まされている気分です。
…というかまさにその通りなんだろうか。違うと思うけど。
まあ、形式がどうとかいうのはともかく。
大体この文章もBLOGという形態で一応読みやすいよう意識して書いてるものだし。
・内容が色々都合良過ぎ
主人公の超絶天才っぷりは想像を絶するもので、それゆえに描写しきれていません。
「そのような事態は既に想定されていたのだ」とか言われても「そんなアホな」としか言いようがない。
通常、設定には何らかの裏づけがないと読者は納得できません。
宇宙戦艦ヤマトで真田さんが「こんなこともあろうかと」と言うのが納得できる人とできない人に分かれるのに似ている気がします。
できる人は真田さんがそういう人だということを自然と受け入れられる人で、できない人はそうじゃない人です。
・超人多すぎ
上とも関連して。
中世風味な割には「魔法なんかない」世界なのですが、
超人的な人間が都合よく味方陣営にいすぎ。
・人物の内面描写の薄さが・・・。
ハードボイルドを目指しているのか、心の描写はほとんどなし(多少はある)。
その是非はともかく、おかげで人物の内面がさっぱり見えません。
ハードボイルドはあえて内面の描写を見せないものですが、行動によって語るものなのですが、それも微妙。
・戦記もの?
超人主人公が伝説の人物として語られる伝記もの、という体裁なんだそうです。ほんまかいな。
「中原」とかそういう三国志テイストな言葉を使っているあたり、戦記ものを目指そうとした雰囲気も垣間見えます。
垣間見えますが、闘争が全くドラマチックに見えない。
諸葛亮やナルサスでももう少しハラハラさせてくれますよ。
主人公が神のごとき慧眼を持っているとしか言いようがないため、全く緊張感がない。
あー、金返せ。
最初の数ページ立ち読みした限りでは面白くなるかなってな予感は多少あったんだ。くそう。
追記:何となくナルサスと書いたところで分かるのか不安になったのでググってみました。
…最近はナルサスというのは「ナルト×サスケ」を意味する言葉のようです。びっくりしました。
俺が書いてるのはアルスラーン戦記の軍師のことです。あしからず。

Comments:7

がくちん 2006-10-13 (Fri) 23:31

>宇宙戦艦ヤマトで真田さん
あれは納得ではなく、アニメの演出として逸品だからOKなんですよ! ドン!(机を叩く音)
能書きは良い、それが美味いか美味く無いかだ。ってのを地で行くのがヤマト。
確かにいきなり「こんなこともあろうかと」で解決します。
彼が事前から考えていたと述べる「唐突な立案
」で、隕石群を磁場(?)で操ってヤマト本体を覆い隠す。
だが敵の攻撃で覆った隕石群が破壊される。ヤマト危うし。
だが、ヤマトを中心にリングを描き、円周運動で攻撃を跳ね返す隕石の破片。これが真の防御作戦であった!
鉄壁の防御を得たヤマトの雄姿、そして静かに流れるヤマトメインテーマのピーク部分…。
これだよ! "ここまでが真田さん"なんだよ!! ちくしょう!
2行で纏めようとしましたが、とても無理でした。残念。
つーか、本文で僅か2行の書き込みにここまで絡む僕は何なのだろうか。

epicurean 2006-10-14 (Sat) 13:11

隕石リング、ありましたね。
でも個人的に一番印象に残っているのはドリルミサイル逆回転なのです。
やっぱ一瞬で片付けるよりはドラマ的展開が欲しいところ。
それはそれとして、おそらく尺と演出の関係で「こんなこともあろうかと」はアリなんでしょう。
とはいえ「見た目が派手、ありえない話じゃない、燃える展開」と揃うとまあつまりは力技的展開でしょう。
力技で見せてしまうにはやはりそれなりのインパクトが必要ということでしょうか。

がくちん 2006-10-14 (Sat) 21:17

>ドラマ的展開
あれは真田ドラマですから。
「こんなこともあろうかと」は「うちのカミさんがねぇ」ですから。
あるいは家政婦「私、見てました!」とか、OL3人組「熱海まで旅行に行かない?」でもOK。
それを言わなきゃ始まらんのだー!
もう呪文みたいなもん。いわゆる一つの万能なるマナ。
>力技とインパクト
いつでも真田さん頼りでは駄目ですよね。
タイミングとリソースを考えなきゃ、インパクトも発生しませんし。
「説明不足を画で逃げるんじゃない、説明不要だから画を描くんだ」とか言ってみたり。
まぁ娯楽小説での応用は難しいでしょうね。文字だけの世界ですし。

epicurean 2006-10-14 (Sat) 22:08

>世界の合言葉は「こんなこともあろうかと」
えー。
ヤマトはちゃんと通しで見たのは総集編だけなので詳しくはないですが、
そんなに何回も言ってるわけじゃないですよね?
>小説
何と言うか、説明描写に説得力がないのかと思われます。

がくちん 2006-10-14 (Sat) 22:27

>何回も言ってるわけじゃない
えっとね、隕石リングの時は「前々より計画していた云々」で、
モロ言ったのは最終話で「こんなこともあろうかと、
反射衛生砲のバリアーをヤマトに搭載云々」とかかも。
いや、他にも色々とありますが、酒に酔い過ぎてちと記憶障害ぎみです。申し訳ない。
あと総集編より、放送版の方が面白いですよ。マジで。
数年前ならビデオ全巻揃っていましたが・・・母に"整理"されて紛失。残念。
>説明描写に説得力
君の説明を聞く限り、ノベルゲーちっくなんですよね?
じゃあ、その方向性による「共通認識」が作者と読み手間に働いているはず。
そっち方向の(積極的な)理解が無い限り、楽しさを共有するのは難しいんじゃないでしょうか。
本当は、そういう依存関係(つーか馴れ合い)無しに、
読んでハッとしてグッドな本がベストなんでしょうけどね・・・。
ギャルゲー以外の活字アレルギーが多い若者の世の中では、
きっとそういう本の方が感覚を共有し易いのかも。
そういえば、この間、蹴りたい背中を読破しました。
・・・ここでは書けない感想を抱きましたとも。これで芥川賞か・・・。
まだギャルゲーの方が良い、と主張する人が出るのも分かりますよ、ええ。

epicurean 2006-10-15 (Sun) 01:22

>ノベルゲームっぽい
むしろガスガスクリックで読み飛ばしながら読むべきものかもしれません。
多分自分でクリックするという行為を入れるとテンポよく読めそう。
まあ、それはそれとして内容がアレだと思いますが。
何か中学生が初めて書いた小説とはいいませんが、かなり稚拙な気はします。
>蹴りたい背中
賞を取るほどかどうかはともかく(あの受賞は話題作りでしょうし)、
俺は結構楽しめましたよ。
正直、中身はほとんど覚えてませんけど。
「オオカナダモ、ハッ」とかああいう雰囲気を楽しめない人には無理かと。
インストールもそうですが基本的に中身より雰囲気ウケだと思います。
蹴りたい背中は「あー、綿矢りさっぽいなぁ」が感想です。

epicurean 2006-10-16 (Mon) 12:19

追記:
http://www.papy.co.jp/act/b...
こちらを読むと早そうな気がします。
まあ、こんな感じです。

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